大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所大法廷 昭和26年(あ)3911号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人本渡乾夫の上告趣意第一点について。

外国人登録令は、外国人に対する諸般の取扱の適正を期することを目的として立法されたもので、人種の如何を問わず、わが国に入国する外国人のすべてに対し、取扱上必要な手続を定めたものであり、そしてこのような規制は、諸外国においても行われていることであって何等人種的に差別待遇をする趣旨に出たものでないから論旨は理由がない。

同第二点について。

所論は、量刑不当の主張であって刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。

なお記録を調べても本件に刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって刑訴四〇八条により裁判官栗山茂の少数意見を除く、裁判官全員一致の意見により主文のとおり判決する。

裁判官栗山茂の少数意見は次のとおりである。

所論は、上告趣意ではじめて本件に適用される外国人登録令の規定は違憲であると主張するのであるが、罰条の違憲を上告審ではじめて主張することは許されないから、本件上告は不適法として棄却すべきものであること昭和二六年(あ)第四六二九号同二八年三月一八日言渡大法廷判決(集七巻三号五七七頁)記載のわたくしの意見のとおりである。

(裁判長裁判官 田中耕太郎 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 島 保 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 岩松三郎 裁判官 河村又介 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎 裁判官 入江俊郎 裁判官 池田 克)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例